今日は1回目の投稿ということで、アルコール依存症ってどんな病気なのかってことを自分なりにまとめてみたいと思います。
診断基準
現在、診断基準は2つあって、
- ICD-10:世界保健機関(WHO)による国際疾病分類第10版(新版であるICD-11がありますが、ICD-10が2020年現在日本で使用されています。)
- DSM-5:米国精神医学会による精神疾患の分類と診断の手引き第5版
があります。今回は現在日本において使用されているICD-10について説明しますね。(ICDはドラッグやアルコールなどを「精神作用物質」の依存症症候群としてまとめています。
- ICD-10(過去1年以内に3項目が存在した場合に依存症症候群と診断できるとしています。)
- 渇望:飲酒したいという強い欲求や強迫感。
- 物質摂取行動の統制不能:飲酒行動(開始、終了、量の調整)を制御することが困難。
- 離脱症状:断酒や節酒による離脱症状の出現。
- 耐性の増大:当初得られた酩酊効果を得るために、飲酒量が増加する。
- 物質使用中心性:飲酒のために、本来の生活を犠牲にする。飲酒に関係した行為や、アルコールの影響からの回復に費やす時間が増加する。
- 有害な仕様に対する抑制の喪失:心身に問題が生じているにもかかわらず、飲酒を続ける。
となっています。(ちなみに2022年から適応されるICD-11は・コントロール障害・飲酒中心の生活・生理学的特徴(離脱症状や耐性など)の3項目のうち2項目が当てはまると依存症と診断するようです。
どれくらいの人がいるの?
このICD-10の診断基準による依存症患者は58万人といわれていますが、他の研究では80万人といわれています。また、実際に治療を受けている人は5万人くらいで非常に少ないですね。それよりも、依存症とは診断されていないが、多量飲酒者は約860万人ともいわれていて、アルコール関連問題が多く存在していると考えられますね。ちなみに、日本では危険なアルコールの使用量は1日あたりの純アルコール摂取量が男性で40g以上、女性で20 g以上といわれています。
純アルコール20 g
ビール中瓶1本(500ml)
日本酒1合(180ml)
ウイスキーダブル1杯(60ml)
焼酎(25度)グラス1/2杯(100ml)
ワイングラス2杯弱(200ml)
チューハイ(7%)缶1本(350ml)

アルコールに関連する社会的損失
アルコールの不適切な仕様による社会的損失は4兆1483億円(2008年)で、その中でもアルコール起因疾患への医療費が1兆101億円みたいです。酒税よりも大きな損失があるようです。
今日はこのあたりにして、次回はアルコール依存症は脳の病気といわれていますが、なぜそのようにいわれるのか神経科学や行動薬理など病態生理の観点から勉強してみたいと思います。

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