なぜ依存症になるのか?〜感情と依存症の関係?〜

アルコール
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こんにちは!今回は、以前の記事でご紹介した「自己治療仮説」というものをもう少し掘り下げてみようと思います!少し堅い内容かもしれませんが、ご興味のある方はお付き合いください!よろしくお願いします!以前の記事では、人は依存性物質を使うことで報酬や快楽を得ているだけでなく、人間関係や自尊心などの問題による苦痛や生きづらさを軽減しているということをご紹介しました。その中でも今回は感情と依存症の関係について、前回と同様に素晴らしい著書である「人はなぜ依存症になるのかー自己治療としてのアディクションー」を使いながら学びたいと思います!

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感情調節って?

感情調節とは、僕たちが生きている中で日常的に経験していることです。僕たちは、自分の外から加えられるストレスで否定的な感情が生じますが、それに対処して不快な感情を和らげて経験しているようです。そもそも不快な感情は、強さや持続する期間を変化させれば、何とか対処することができるものみたいです。このような対処は、肯定的だったり否定的なストレスにさらされた時はもちろんですが、生活上で突然の変化に遭遇したときや、ただ怖い映画を鑑賞している時にも行われているみたいです。

それで、この感情調整の機能の高さは、子どもの場合は、行動の自己コントロールや抑うつ症状、適応の問題、社会的スキルなど、将来の健康状態を予測する重要な要因とされているみたいです。

また、自分の感情をうまく管理できる人は、より良い対人関係や、適応の成功、心理的満足度の高さを示す傾向があるようです。逆に、感情調整が苦手な人は、社会生活の中で多くの不安を経験するといわれています。

発達論的な視点

僕たちは思春期に発達上の大きな変化を経験します。その頃は、独立心が高まって、社会に対する挑戦的な態度といった特徴が見られる心理的な発達段階です。ここでは、強烈な感情を抱え込んだり、そうした感情に対処したりと初めての体験をします。

物質使用に関する問題の多くが思春期頃に始まることを考えれば、発達論的な視点は、感情調節と物質使用との関係の結びつきを理解するために重要なことがわかりますね!

そして、否定的な感情(怒り、恐れ、フラストレーションなど)、感情の調整不全、対処スキルの乏しさなどは、思春期における物質乱用に対して促進的にはたらく要因となっているようです。また、思春期の集団を3年間にわたって追跡調査した結果、否定的感情の存在は将来における物質使用のリスクを有意に高めるという結果があるようです。

感情調節能力の乏しさは、成人においても青年と同じように物質使用の危険因子のようです。成人の薬物乱用者は、健常者に比べて感情処理に困難を感じている傾向があるみたいです。

不十分な感情調整能力と物質使用との密接な関連があるということは、物質乱用者のなかに抑うつ、不安、怒りなど否定的感情が存在しているということを意味していて、こうした感情が存在すること自体が薬物渇望を刺激する可能性を示唆しています。

あと、外的ストレス(環境が与えるストレス)と否定的感情の経験も、物質使用の開始や再発に重要な役割があるようです。例えば、ストレスの高い職場環境にあったと報告した定年退職者は、ストレスのない職場環境であったと報告した人よりも、退職後の生活で飲酒量が多い傾向にあることがわかっているようです。

また、実験室で物質乱用をやめている人と健常者に感情を刺激する写真を提示しても、健常者に比べて主観的反応が乏しいことがわかっているみたいです。

使用する薬は何でもいいの?

物質乱用者は、手当たり次第に物質に手を出しているのでしょうか?

研究によれば、物質乱用者は決して無作為に使用する物質を選択しているのではなくて、多くの場合、さまざまな試行を繰り返す中である特定の感情を緩和するのに適した物質を発見するというかたちをとるようです。つまり、その物質がもたらす心理的効果が、その人の「中核的な心理的欲求」を満たすものを好むようです。

オピエード(麻薬)の効果ー攻撃性と激しい怒りへの対処

オピエードは、強力な鎮痛作用があって、医療の現場で使われています。このオピエード使用による依存症を引き起こす根本的なメカニズムは、オピエードがもつ鎮静的な効果の魅力にあるようです。

否定的な感情がオピエードに対する渇望を引き起こしても、オピエードを使用することで、感情的苦痛を調整し「破壊的な衝動を行動化してしまう」のを防いでくれるようです。

オピエードという物質の魅力は、人生早期につらい暴力や攻撃的行動にさらされる、などといったトラウマ体験に由来する激しい怒りや攻撃性を、瞬時にして鎮めてくれるという点にあります。

患者が抱えているさまざまなトラウマ体験は、現在の攻撃性と密接に関連している一方で、当の本人は怒りや攻撃性を緩和したり制御したりする適応的な心理的規制を確立できていない傾向があるようです。そうした中で、オピエード仕様だけが感情的苦痛を一時的に緩和し、低減させる対処法として機能するわけです。

オピエード使用障害に罹患する人は深刻なトラウマ体験を持つ人が多く、抱える怒りや否定的感情が強い人ほどヘロインを好むことが多いことも確認されているようです。

覚醒剤とコカインー抑うつ状態と空虚感からの逃避

まず、コカインの心理的効果は、気分の高揚、自尊心の高まり、疲労感の減少、活力と生産性の向上といったものがあるようです。

内的な空虚感、倦怠感、抑うつ状態を回避したいとかコントロールしたいとか考える人はこのような効果を好む傾向があるみたいです。

また、コカイン乱用者には「エネルギー水準の低い」乱用者と「エネルギー水準の高い」乱用者が存在するとされています。

「エネルギー水準が低い」コカイン乱用者は、倦怠、抑うつ、疲労感といった感覚を慢性的に体験していて、コカイン使用障害とうつ病は併存することが多いようです。抑うつ症状は、コカインに対する渇望、再発率の高さ、治療からの脱落と関連していて、最初のサインと見なされているみたいです。

反対に「エネルギー水準の高い」コカイン乱用者は、さらなる高揚と興奮を求めているとされています。

例えば、慌ただしい毎日を送ることによって、抑うつ状態に陥るのを回避し続けようとします。「エネルギー水準が高い」乱用者は、活性化効果を期待してコカインを使用しているという研究結果があるようです。このような快楽の要求は、他の物質を使用する人には見られないもので、「エネルギー水準が高い」コカイン乱用者に独特なものであるようです。高揚した気分を求めて、慌ただしく動き続けようとする人がコカインを乱用することが多いようですが、他の物質の乱用者ではこのような物質と乱用者の関係はみられないようです。

また、覚醒剤など中枢刺激薬が注意欠陥・多動性障害(ADHD)を抱える人を逆説的に鎮静化させ、物事に集中して取り組めるようにさせる効果もあるようです。

鎮静剤とアルコールー抑制の解放

アルコールは、不安を軽減し、リラックスした気分をもたらしてくれる、鎮静効果をもつ中枢抑制薬です。厳格な性格で、人前で防衛的な構えを強めてしまう人にとって、アルコールがもたらすリラックス効果は、まさに歓迎すべきものといえるでしょう。アルコールの使用は、心理的防御を緩和し、緊張と不安に満ちた状態から解き放ってくれます。その一方で、それまで抑制されてきた怒りが、アルコールの鎮静的で脱抑制的な効果によって解放され、暴力として爆発することもあります。

さまざまな研究によれば、アルコール乱用者が自分の感情的体験を抑制したり、過度に自らのうちに抱え込んでしまいがちであること、あるいは、アルコールを用いて感情状態の調整をしている可能性があるとしているようです。

アルコール乱用者は、不快感情を抑えようとして過度に防衛的になったり、抑圧(意識することを回避する)や否認(認めるのを拒む)を用いたりするともいわれています。

ここで興味深いのは、このような特性はアルコール依存症患者に特有のものであるといっています。他の物質の依存症患者に比べると、自らの怒りを過剰にコントロールし、感情を受け入れることを避けようとする傾向が強いそうです。

実験室で2週間禁酒したアルコール乱用者は、画像による嫌悪刺激に対して平坦な感情的体験を報告し、他の物質の乱用者にはみられない特徴があったという研究もあります。この研究によって、アルコール依存症患者にみられる感情調整不全は慢性的なアルコール乱用の結果ではなく、断酒中のアルコール乱用者に見られる感情抑制傾向こそが、その人が乱用物質としてアルコールを選択する上で重要な役割をしているといっています。

まとめ

依存症と聞くと、欲望に溺れた人、意志が弱い人、自業自得など偏見や差別的な言葉を口にする人が多いのではないでしょうか。僕自身も、怖い人、傷つけられるなど、恐怖心を抱いていました。ですが、依存症という病を理解しようとした時、依存症患者の生きづらさや、心理的苦痛に目を向ける必要があります。そして、それは自分自身と向き合うということでもあります。依存症とは、生きるための手段であったと考えると少し視点が変わるのではないでしょうか。今回は、僕たちが生きる上で必要不可欠な感情と依存症の関係について書いてみました。僕は依存症治療は、一部の支援者の努力だけでは到底なし得ないと思っています。依存症者が抱える孤独感や孤立感は、やはり社会全体で支援していく必要があると思っています。少しでも依存症に対する考え方やイメージが変わって頂けると幸いです。今後も、もっと勉強していきたいと思っていますので、お付き合いお願いいたします!

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